竹弓の種類と選び方
グラス弓・カーボン弓の一覧表が好評でしたので、調子に乗って竹弓について調べました。
竹弓を語るうえで欠かせない「都城弓師系譜」の2019年版も作ってみました。
ご意見いただければその都度改定しようかと思ってます。
PDFはこちらからダウンロードできます。
都城弓師系譜2019.pdf
竹弓の一覧表.pdf
写真はウチの楠見蔵吉です(白竹・カーボン入で10万ちょい)。見づらいけどピンボケしてるわけではないです
目次
- ○ 竹弓の素材、竹の種類について
- ・竹弓の素材
- ・竹の種類
- ・その他の竹弓
- ○ 竹弓の弓名一覧
- ・楠見蔵吉(くすみくらきち)系(都城)
- ・横山宗吉(よこやまむねよし)系(都城)
- ・南崎美利(みなみざき よしとし?)系(都城)
- ・増森弥吉(ますもり やきち)系(都城)
- ・大峯義照(おおみね よしてる?)系(都城)
- ・服部喜寿(はっとり よしひさ?)系(都城)
- ・松永萬義(まつなが まんぎ)系(江戸・京都)
- ・小山弓具(江戸)
- ・柴田勘十郎(しばたかんじゅうろう)系(京都)
- ・その他
- ○ まとめ
竹弓の素材、竹の種類について
竹弓の素材
真竹を芯材に使用し、黄櫨(はぜ)の木を側木に使うのが古来の製法。
側木に使われる黄櫨は国産品が希少となっており、桜・楓・紫檀・黒檀・ローズウッドなどいろいろな側木が使われ始めている。
側木の模様は杢(もく)と呼ばれ、シコ杢・縄目杢・鶉(うずら)杢といった種類がある。
横山黎明さんは黄櫨を製材した後、20年乾燥させるとツイートしていました。
※「全日本弓道具協会」のHPで、弓具の情報が詳しく解説されています
竹の種類
竹弓の内側に使用される竹には3種類あります
白竹(しらたけ)・・・切った竹を数か月乾燥させ、炭で炙り油分を飛ばし、天日干しすることで綺麗な肌色になる。外側は基本的に白竹が使われている(外側はしなりが必要なため)
焦竹(こがしたけ)・・・白竹を直火にかけて炭化・硬化する。反発力が増し、裏反りが落ちにくく、丈夫になる。白竹と煤竹の中間の色合い
煤竹(すすたけ)・・・白竹を室で燻してこげ茶色にした竹。古民家の囲炉裏で燻されたものは最高級品
その他の竹弓
ニベ弓・・・鮸(にべ)という魚の浮袋を煮詰めた接着剤「膠(にかわ)」で竹を貼り合わせた弓。合成接着剤とは引き味が異なる。現在は鹿の皮を煮詰めた膠が使われることが多く、これもニベと呼ばれる
カーボン入竹弓・・・1987年に小山弓具が発売した「清芳」が元祖。裏反りが少なく、故障が少ない。カーボンが棒状に入っていたり、シート状で入っていたりの違いはあるが、現在では多くの弓師がカーボン入竹弓を発売している。基本的に「煤竹使用&カーボン入」が最もお高い。
重藤弓(しげとうゆみ)・・・骨董品。弓全体を籐で巻き、その上から漆で塗り固めた弓。たまにヤフオクとかで出品されてます
竹弓の弓名一覧
☆新弓は二夏を越えて安定する(接着剤がなじむ)。購入時に誕生日(いつ作られたか)を聞くと良いらしいです。
☆お値段は一張ごとに違うので、あくまで参考までに。
楠見蔵吉(くすみくらきち)系(都城)
楠見蔵吉は都城弓師系譜の最古。
楠見蔵吉
焦竹・カーボン入 ¥105,000~
煤竹 ¥138,000~(側木にローズウッド使用も有り)
楠見祖峰(くすみそほう)
くすみ弓具店(福岡)。価格情報なし。
永野一翠(ながのいっすい)
近年の竹弓ベストセラー
特 永野一翠 カーボン入 ¥95,000~
特作 永野一翠銀文字 カーボン入 ¥110,000~
特作 永野一翠 カーボン入 ¥130,000~
吟翠(ぎんすい) カーボン入 ¥155,000~
梓 猪飼秀重(いかいひでしげ)
猪飼弓具(大阪)の創業者。栗東で創業。柴田勘十郎の弟子。永野一翠のOEM
猪飼秀重 カーボン入り ¥89,000~
小倉紫峯(おぐらしほう)
小倉大弓製作所(宮崎)
小倉紫峯 ¥117,000~
薩摩竹山(さつまちくざん)
永野一翠の弟子。白竹がキレイ。価格情報なし
至宝竹山という上位モデルがあり、その中でも七本芯のものは年間4張しか製作されないとのこと。すでに生産を終了したとの情報もあります(2020年8月時点)。レア弓になりそうです
守山に至宝竹山をお持ちの方がいます、惚れ惚れする美しさです。
横山宗吉(よこやまむねよし)系(都城)
横山黎明弓製作所(宮崎)。斉藤紫山(楠見の弟子)の職人。
初代黎明(宗吉) 二代目黎明(髙芳) 三代目黎明(博志) 四代目(慶太郎)
横山黎明(よこやまれいめい)
¥110,000~
カーボン入り ¥140,000~
大菴聖心(だいあんしょうしん )
森六一(もりむつはる)の弓銘。価格情報なし
湯田扇山(ゆたせんざん)
情報なし
南崎美利(みなみざき よしとし?)系(都城)
楠見の職人さん
南崎寿宝(みなみざきじゅほう)
1922年創業。美利⇒操⇒寿宝と受け継がれてきた。深い裏反りと扱いやすい重さ
森 茂夫(もりしげお)
森六一の弟。20kg以上の剛弓に定評があるらしい。価格情報なし
毛利 文(もりあや・もうりあや)
森茂夫の娘。女性弓師。価格情報なし
増森弥吉(ますもり やきち)系(都城)
情報なし
大峯義照(おおみね よしてる?)系(都城)
菊永泰道(きくながたいどう)
菊永貞次作。「泰道」の由来はyoutube「菊永泰道の弓作り」参照。
播磨竹禅(はりまちくぜん)
弓工房はざま(姫路)。岡山の竹を使ったニベ弓
順清
兵庫県赤穂市。播磨竹禅の弟子
真康(さだやす)
加藤弓工店(岡山)。播磨竹禅の弟子
服部喜寿(はっとり よしひさ?)系(都城)
初代楠見蔵吉と同年代の人物
童心
桑幡正清作。初心者用、シンプル構造の竹弓
¥42,000~
桑幡正清(くわはたまさきよ)
島津家の弓師東郷家の系譜。鹿児島隼人周辺の竹を使用し、薩摩弓の伝統的な成で湿気に強く矢勢がある
焦竹 ¥85,000~
煤竹 ¥77,000~
煤竹カーボン入り ¥87,000~
一燈斎(いっとうさい)
桑幡正清作。入木が強く矢勢は早い。youtube「桑幡元象 一燈斎」参照
煤竹 ¥82,000~
新宮素直(しんみやすなお)
情報なし
松永萬義(まつなが まんぎ)系(江戸・京都)
松永重宣弓製作所(熊本県)。薩摩成に京成が入っているらしい
松永重宣(まつながしげのぶ)
¥100,000~
松永佳也(まつながよしや)
松永重宣の弟子
¥90,000~
肥後三郎(ひごさぶろう)
松永作、熊本産、上級者向けの名弓。youtube「名弓「肥後三郎」の制作風景」参照
健太
渡辺健太(熊本、松永重宜の弟子)作。初心者用
¥38,000~
小山弓具(江戸)
八代目小山雅司(こやままさし)は、1971年にグラス和弓、80年代に直心シリーズ、87年に清芳を発売。大嘗祭の弓具師に選ばれる。通販の在庫も充実していて、1年保証もあり、サービスが良いです。
清一郎
竹弓の調整・管理法習得に最適な、扱いやすいモデル
焦竹 ¥70,000~
雅澄(まさずみ)
竹弓経験者向けに、扱いやすさと弓の冴えを両立したモデル
焦竹 ¥88,000~
小山雅司
煤竹使用の上級者向けモデル
煤竹 ¥108,000~
清芳(せいほう)
カーボン入り竹弓の元祖。1987年発売時に三十三間堂の通し矢が再現された。100射中9本が射通
焦竹カーボン入り ¥102,000~
煤竹カーボン入り ¥118,000~
柴田勘十郎(しばたかんじゅうろう)系(京都)
youtubeで「柴田勘十郎」と検索すると動画多数あり。織田信長が本能寺で使用したらしい(すご・・・)
画像は知人の柴田勘十郎ですが、握りから下姫反のあたりまでがまっすぐ。先生は「お腹がでてない」と表現していました。
全部がこんな成りではないでしょうけど、個性的ですよね。
下弦が強い?ためよく飛ぶそうです。
柴田勘十郎 ¥100,000~
柴田勘十郎 ニベ ¥200,000~
相州重仁(そうしゅうしげひと)
弓工房今井(神奈川)の銘。柴田勘十郎の弟子。相州=相模国
価格情報なし
その他
無名作(むみょうさく)
やまと弓具店(愛知)。 ¥90,000~
まとめ
竹弓の情報はネット上にはほとんどないです。
弓具店さんや先生、人脈を通じてコツコツ情報を集めるのが大事みたいです。
「あの弓師さんは〇〇先生の大学の後輩で・・・」といった面白い話も聞けたりして楽しいですよ。
購入する際の注意点(失敗談)なんかも先生方からよく聞いておきましょう(この記事に書けないような話もたくさんありました)。先生方は喜んで教えてくれますよ~
ご意見・追加情報などもお待ちしております!
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