国税を滞納したらどうなるか
税理士会の研修で税務署長のお話を聞いてきました。内容はレアな国税徴収法!備忘録としてまとめておきます
国税の滞納件数は金額ベースで全体の1%、件数ベースではもう少し多いそうです。
国税の徴収処分では他の税法みたいワナ(?)は無く、素直に条文を理解すれば大丈夫とのこと。
目次
- ○ 国税の徴収部門とは
- ○ 国税の滞納から処分の流れ
- ○ トッカンの裏話が!
- ○ まとめ
国税の徴収部門とは
各税務署でも一番人数が少ない部門らしく、苦情が多かったり、その筋の方を相手にしたり
(特に精神的に)ハードな仕事なのでやりたがる人は少ないそうです。税理士試験の科目にもありますがあまり人気がないです。ちなみに一番人気がない科目は僕がとった住民税です。
お話をしてくれた税務署長さんは徴収部門を担当していたらしく、ヤバイ事務所に取り立てに行った経験もあるとのこと。大層やりあって金庫ごと差し押さえたりしたらしい。逆らったらアカン方や・・・まあ一介の若手税理士が署長とやりあうことはないですが
国税の滞納から処分の流れ
① 国税を納期限までに納付しなかった場合、原則50日以内に督促状が出される
昔は20日以内だったそうですが、振替納税の増加により50日に変更されたらしい。条文には「税務署長は督促状により督促しなければならない」とあるので、義務なんですね。
② 納付も相談もない場合、金融機関や取引先、自宅の捜索などの財産調査が入る
調査だけですが、国税局査察部(マルサ)の査察以上に強力な強制捜査です。令状なしで捜査ができます
③ やっぱり納付も相談もない場合、差押えがされる
条文では、督促状を発送した日から十日を経過した日までに完納がなかった場合に差押えをするとなっていますが、実務上はさすがにもう少し時間が空くそうですが、差押えの現場では徴収職員の判断で動くことができます。
④ 債権は取立て、動産や不動産は公売にかけられる
不動産の名義変更なんかも職権で可能、最近はネット売買のおかげで動産の差押えも増えているらしい。海外財産についても条約で差押え対象とできる国が徐々に増えているそうです。
⑤ 滞納した国税に充当する
紹介された事例ではダイヤの原石9000万円、ベントレー2300万円、男はつらいよのポスター160万円などのお値段がついたそうです。差押えの際の見る目が必要とのこと。
トッカンの裏話が!
何年か前に井上真央ちゃんが主演の「トッカン」ていう面白いドラマあったなーと思いながら話を聞いていたら、なんとその裏話がでてきてテンションが上がりました。
普段関わらない&法と実務が異なる世界の話でしたのでかなり勉強になる良作ドラマでしたね。2012年放送でした。
真央ちゃん役のモデルになった方は実在しているらしく、大阪国税局内で出世されているそうです。
まとめ
納税ができない場合、早めに相談するほど打つ手が多くあります。納付が難しい方には猶予制度も設けられていますが「納税について誠実な意思を有する」などの条件があり、真摯に対応するのが大事とのことでした。
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