貸倒引当金ってなんなん?
①借方と貸方ってなんなん?
②貸倒引当金ってなんなん?
③減価償却ってなんなん?
の3つです(多分)
今回は貸倒引当金について簡単にまとめてみました。
目次
- ○ 貸倒引当金の定義
- ○ 貸倒引当金処理の流れ
- ○ 実務での取り扱い(個人事業)
- ○ 実務での取り扱い(中小企業)
- ○ まとめ
貸倒引当金の定義
簿記のテキストでは「将来発生すると予想される売掛金や受取手形の貸倒れに備えて設定する勘定科目」と説明されています。
一方、ウィキペディアさんでは「適正な資産評価および損益計算のために計上される抽象的な概念であり、リスクを定量的に表現したものにすぎない。そのため、貸倒引当金に相当する資金(現金)が現実に確保されるわけではない」と解説されています。
「抽象的な概念!」はカッコいい表現ですが置いといて、「リスクを定量的に表現したもの」という表現はわかりやすいかもです。
貸倒引当金処理の流れ
商売をするうえで「売上金が回収できない」というリスクは常にあり得ます。回収できない状態がしばらく続いて、最終的に取引先が倒産などして貸倒れ、ということになり、時間差が生じます。会計の世界では過去の期に生じた売上に対応する費用を、先の期に計上したくないんですよね(期間対応の原則)。そこで、無理やり?リスクをお金に換算して費用を計上するのです。そこで「貸倒引当金繰入」という費用科目が生じます。
で、売掛金・受取手形のマイナスにしたいけど、貸し倒れはまだ発生していないし、どの取引先の分が貸し倒れるかわからない、お金も動いていない、という中途半端な状態を記録するために「貸倒引当金」という科目をつくって、資産のマイナス評価をしてやる。という流れです。3級で資産のマイナスとして表示されるのはこの貸倒引当金と、減価償却累計額の2つだけで、「評価勘定」といわれることもあります。
「引当金」というのは、まだ確定していないけど費用を見越して計上するもの=将来発生するであろう費用を先に計上してしまう、という意味があります。
ところで銀行さんはお金を貸すのが仕事ですので、貸倒引当金との関係が深いです。一時期、流行った「不良債権処理」というのは、銀行さんに回収できないけど貸倒れたわけではない、という貸付金(=不良債権)があったので、金融庁が「ちゃんと貸倒引当金を設定しなさい」と指導して、銀行が不良債権を見える化して貸倒引当金を計上した、というのが大筋の話です。
実務での取り扱い(個人事業)
個人事業で、青色申告をしている場合は期末時点の売掛債権の5.5%を貸倒引当金に繰り入れることが認められています(経費に算入できる=税金が安くなる)。
まあ翌期に戻入をして課税されるので気休め程度の制度ですが。取扱金額の大きい業種(不動産業など)では税額への影響が大きくなることもあります。
実務での取り扱い(中小企業)
大企業ではテキストに出てくるように貸倒の実積率を基に計算するケースが多いですが、中小企業は税法ベースで計算する会社がほとんどです。
法定繰入率といって、
卸売業及び小売業・・・10/1000
製造業・・・8/1000
金融業及び保険業・・・3/1000
その他・・・6/1000
と、個人事業の5.5%(=55/1000)に比べて結構厳しめの数字となっています。まあ国としては貸倒引当金が多いと税収が減りますしね。
まとめ
3級を勉強していくときには現金の動きをベースに借方・貸方を理解していくのがメジャーかと思いますが、貸引と減価償却はお金の動きがないということで「なんで費用になるん?」ということでつまづくのかもしれません。これはとても良い疑問で、帳簿上の損益と実際のお金の動きのズレを説明するための「キャッシュフロー計算書」という資料がでてくるんですよね(なんと日商簿記1級の勉強範囲)
3級のレベルでは理解して覚えるというより、処理を体で覚える、という方法がこの壁を乗り越えるには手っ取り早いかもしれません。
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