租税教室の流れと質問集
こんにちは、滋賀県守山市の弓引く税理士、酒屋です。
今年は初めて中学3年生向けの租税教室をやらせていただきました。通算10回は超えましたので、もうベテラン(笑)。緊張することもなくなりました。自分への備忘録と、他の先生方の役に立つかもと思い、授業の流れと実際にあった質問を紹介します!
税理士によって授業の方法は異なるんですが、私の場合はビデオは使わず、税理士会のパワポの資料にオリジナルのスライドを何枚か織り交ぜてやっています。1億円のレプリカも基本使わずに進めています。
①自己紹介
②税理士の仕事
③税の必要性(クイズを織り交ぜながら)
④税の公平性(グループディスカッション)
⑤財政と租税民主主義の話
⑥アンケート記入・回収
⑦アンケートに書かれた質問に答える
という流れでやっています。
・グループディスカッションでは学校の建設資金をみんなから税金を納めてもらう、というストーリーなんですが、なぜか毎回異様に盛り上がります。
・財政の話は一番難しいです。「日本には900兆円の借金があります、将来世代の負担です」で説明は終わってしまうので。(MMTみたいな)借金しても大丈夫という意見もあるよ、とは一応説明するようにしてますが、どうしても不安にさせてしまう内容です。
・授業中にアンケート記入と回収をするやり方は、とある先生の手法を真似させてもらいました。直接質問を聞いても手をあげてくれる子は少ないですが、書いてもらうと良い質問がたくさんでてきます。そしてその場で答えることができれば生徒たちも喜んでくれるんじゃないかと思って、時間のある限り質問に答えるようにしています。
これまで実際にあった質問と回答(案)を紹介します。
Q.新しく税が作られた時、どうやって国民に伝えられるのですか?
A.正式には官報、現実にはマスコミ(TV、新聞等)を使って周知されます。
Q.他国と日本の税金の違いが気になりました
A. 一つの国を調べるだけでもかなり大変やけど、気になる国があったら調べてみてください。BEPSなんかを調べてみても面白いかも。
Q.税率を一気に引き上げると、どうなることが予想されますか?
A.決める前に反対する人が多いから、一気に引き上げることは難しいかも。
Q.税金を納める人が増えれば税金の負担も下がるんですか?
A.多く負担する人がいれば、負担が少なくなる人もでてきます。歳出が増えるか減るかも考えないといけないですよね。
Q.税金を納めなかったらどうなるのですか?
A.まずは催促がきて、最終的には財産の差し押さえになります。事情があって納められないときは、分割で納めるなどの相談をすることができます。
Q.人口が減っていく中、税はどのように変化していくのか?
Q.私たち世代が社会人、高齢者になったとき税金はどう変わっていますか?
Q.消費税はどこまで上がりますか?
A.ベーシックインカムや、AIの発達によって税制も想像できない形になっているかもしれません。けど、税制をきめるのは国民=将来の皆さんです。自分のこととして考え続けてください。
Q.サラリーマンの税で、所得税以外の税も入れると大体いくらぐらいになるのか?
A.人によって大きく異なると思います、所得税は累進課税やし、固定資産税は不動産を持っているかいないか、タバコを吸う人やお酒を飲む人は負担が多かったり・・
Q.所得税(超過累進税率)の計算方法が気になりました
A.ある金額を超えた部分に対してのみ、高い税率をかけていくという計算です。実際には「速算表」という表を使って簡単に計算する方法があります。
Q.消費税は増えていますが、他の税は増えていないのですか
A.法人税は訳あって税率が下がっています。所得税は少しずつ増税がされているような気がします。
Q.消費税がない国はあるのか
A.アラブ首長国連邦やブルネイなど、資源が多い国は税金が少なかったり、税がなかったりします。
Q.消費税を一人あたりどのくらい払っているのか気になった
A.1年間にどのくらいお金を使うか考えれば計算できます。医療費や家賃を除いて、大体200万円くらい消費するとしたら、16万円くらい?で大きく外れてはいないはず。
Q.消費税20%にすると国の収入はどのくらい増えるのか?
A.税率を+1%すると約1兆円増えると試算されています。
Q.国はどこからお金を借りているのですか?
A.今のところ、「日本国民から借りている」といわれています。他の国から借り始めたら危ない、と言っている専門家の人もいます。
Q.公共物以外のものを税金で作ることはありますか?
A.国や自治体が直接作ることはあまり聞かないです。お金を出したり、補助金なんかで間接的に作ることが多いかな。
Q.国が破産したらどうなりますか?
A.公共サービスが受けられなくなったり、インフレといってモノの価格が急激に高くなったりするかもしれません。
Q.年金の仕組みを変えることはできると思いますか?
A.賦課方式から積立方式に変える、という話は昔からずっとあります。けど、年金の制度自体が大きくなりすぎていて急に変えてしまうのは難しいかもしれません
Q.議員の人が税金を遊びに使っていること。
A.あんな大人にならないでね
税理士会でも租税教育推進委員会が設置され、租税教育の普及には力が入ってきていますが、まだまだ教壇に立ってくださる税理士先生は少ないようです。税理士が租税教室の内容について書いているページは少ないようなので、この記事が役に立てば幸いです。
教えることは、教わること。より多くの先生が教壇に立ってもらえますように!
今年は初めて中学3年生向けの租税教室をやらせていただきました。通算10回は超えましたので、もうベテラン(笑)。緊張することもなくなりました。自分への備忘録と、他の先生方の役に立つかもと思い、授業の流れと実際にあった質問を紹介します!
租税教室の流れ
税理士によって授業の方法は異なるんですが、私の場合はビデオは使わず、税理士会のパワポの資料にオリジナルのスライドを何枚か織り交ぜてやっています。1億円のレプリカも基本使わずに進めています。
①自己紹介
②税理士の仕事
③税の必要性(クイズを織り交ぜながら)
④税の公平性(グループディスカッション)
⑤財政と租税民主主義の話
⑥アンケート記入・回収
⑦アンケートに書かれた質問に答える
という流れでやっています。
・グループディスカッションでは学校の建設資金をみんなから税金を納めてもらう、というストーリーなんですが、なぜか毎回異様に盛り上がります。
・財政の話は一番難しいです。「日本には900兆円の借金があります、将来世代の負担です」で説明は終わってしまうので。(MMTみたいな)借金しても大丈夫という意見もあるよ、とは一応説明するようにしてますが、どうしても不安にさせてしまう内容です。
・授業中にアンケート記入と回収をするやり方は、とある先生の手法を真似させてもらいました。直接質問を聞いても手をあげてくれる子は少ないですが、書いてもらうと良い質問がたくさんでてきます。そしてその場で答えることができれば生徒たちも喜んでくれるんじゃないかと思って、時間のある限り質問に答えるようにしています。
質問と回答
これまで実際にあった質問と回答(案)を紹介します。
税制全般
Q.新しく税が作られた時、どうやって国民に伝えられるのですか?
A.正式には官報、現実にはマスコミ(TV、新聞等)を使って周知されます。
Q.他国と日本の税金の違いが気になりました
A. 一つの国を調べるだけでもかなり大変やけど、気になる国があったら調べてみてください。BEPSなんかを調べてみても面白いかも。
Q.税率を一気に引き上げると、どうなることが予想されますか?
A.決める前に反対する人が多いから、一気に引き上げることは難しいかも。
Q.税金を納める人が増えれば税金の負担も下がるんですか?
A.多く負担する人がいれば、負担が少なくなる人もでてきます。歳出が増えるか減るかも考えないといけないですよね。
Q.税金を納めなかったらどうなるのですか?
A.まずは催促がきて、最終的には財産の差し押さえになります。事情があって納められないときは、分割で納めるなどの相談をすることができます。
Q.人口が減っていく中、税はどのように変化していくのか?
Q.私たち世代が社会人、高齢者になったとき税金はどう変わっていますか?
Q.消費税はどこまで上がりますか?
A.ベーシックインカムや、AIの発達によって税制も想像できない形になっているかもしれません。けど、税制をきめるのは国民=将来の皆さんです。自分のこととして考え続けてください。
所得税
Q.サラリーマンの税で、所得税以外の税も入れると大体いくらぐらいになるのか?
A.人によって大きく異なると思います、所得税は累進課税やし、固定資産税は不動産を持っているかいないか、タバコを吸う人やお酒を飲む人は負担が多かったり・・
Q.所得税(超過累進税率)の計算方法が気になりました
A.ある金額を超えた部分に対してのみ、高い税率をかけていくという計算です。実際には「速算表」という表を使って簡単に計算する方法があります。
消費税
Q.消費税は増えていますが、他の税は増えていないのですか
A.法人税は訳あって税率が下がっています。所得税は少しずつ増税がされているような気がします。
Q.消費税がない国はあるのか
A.アラブ首長国連邦やブルネイなど、資源が多い国は税金が少なかったり、税がなかったりします。
Q.消費税を一人あたりどのくらい払っているのか気になった
A.1年間にどのくらいお金を使うか考えれば計算できます。医療費や家賃を除いて、大体200万円くらい消費するとしたら、16万円くらい?で大きく外れてはいないはず。
Q.消費税20%にすると国の収入はどのくらい増えるのか?
A.税率を+1%すると約1兆円増えると試算されています。
財政関係
Q.国はどこからお金を借りているのですか?
A.今のところ、「日本国民から借りている」といわれています。他の国から借り始めたら危ない、と言っている専門家の人もいます。
Q.公共物以外のものを税金で作ることはありますか?
A.国や自治体が直接作ることはあまり聞かないです。お金を出したり、補助金なんかで間接的に作ることが多いかな。
Q.国が破産したらどうなりますか?
A.公共サービスが受けられなくなったり、インフレといってモノの価格が急激に高くなったりするかもしれません。
その他
Q.年金の仕組みを変えることはできると思いますか?
A.賦課方式から積立方式に変える、という話は昔からずっとあります。けど、年金の制度自体が大きくなりすぎていて急に変えてしまうのは難しいかもしれません
Q.議員の人が税金を遊びに使っていること。
A.あんな大人にならないでね
まとめ
税理士会でも租税教育推進委員会が設置され、租税教育の普及には力が入ってきていますが、まだまだ教壇に立ってくださる税理士先生は少ないようです。税理士が租税教室の内容について書いているページは少ないようなので、この記事が役に立てば幸いです。
教えることは、教わること。より多くの先生が教壇に立ってもらえますように!
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