期限後申告と納付書の話
今回は所得税の期限後申告と納付書の話を。結構レアな内容かと思います(税理士には常識かも)。
目次
- ○ 期限後申告とは
- ○ 期限後申告のペナルティ
- ・①無申告加算税
- ・②延滞税
- ・③青色申告の65万控除が受けられない
- ・④住民税もペナルティ
- ○ 期限後申告の方法
- ○ 納付書
- ・ペナルティの分も納付するの?
- ○ まとめ
期限後申告とは
「所得税法では毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納付することになっています。しかし、期限内に確定申告を忘れた場合でも、自分で気が付いたらできるだけ早く申告するようにしてください。この場合は、期限後申告として取り扱われます(国税庁HPより」」
「想像を絶するルーズさ」までいかなくても、忙しくてうっかりなど、理由は問わず確定申告が期限内にできなかった場合に、確定申告書を提出すると期限後申告となります。
期限後申告のペナルティ
①無申告加算税
その名のとおり申告をしていなかったことに対するペナルティです。本来の納付税額50万円までは15%、50万円を超える部分には20%を乗じた金額(千円未満切捨)が加算額となりますが、軽減される場合が多くあります。
軽減その1・・・税務署に指摘される前に自主的に期限後申告した場合には一律5%に軽減されます。平成28年分以後について、税務調査の通知がきた後にした場合は、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%の割合
軽減その2・・・過去に期限後申告で加算税を課されたり、課されかけたことがなく、申告期限から1か月以内に申告+納付を済ませた場合(要するに初犯で、期限オーバーが軽い場合)には、無申告加算税が免除されます。
②延滞税
申告ではなくて税金の「納付」が遅れることに対するペナルティ。利子みたいなものです。
「(10,000円未満切捨した)納税額×延滞税率×延滞日数/365」で計算します(千円未満切捨)。延滞税率は年によって変わりますが、近年は概ね年9%前後(期限後当初2か月間は3%弱で計算)となっています
③青色申告の65万控除が受けられない
青色申告の65万控除は期限内に申告をした人だけの特典ですので、期限後申告の場合は受けられません。それでも10万の控除は受けられます。
④住民税もペナルティ
無申告加算金・延滞金という名前でほぼ同じ内容のペナルティが課されます。計算式もほぼ同じです。
期限後申告の方法
通常の確定申告と同じで、国税庁の「確定申告書作成コーナー」で作ることができます。
最近気づいたんですが、提出方法によってブラウザの対応状況が違うみたいです。
画像中の①「印刷して書面で提出」③「ID・PW方式により提出」はChromeやFirefoxに対応してますが、②「マイナンバーカード方式により提出」④「税理士の代理送信」は、相変わらずInternet Explorerのみ。いつかはChrome対応してくれるんでしょうか・・・
あとは税理士特有の話ですが税務代理権限証書の添付は相変わらずややこしい。e-TAXソフトで作成して、拡張子.xmlで保存、申告書送信の直前「源泉徴収票等の送信」ページでこのXMLファイルを添付して送信します。
e-TAXソフトと確定申告書作成コーナーを行ったり来たりするのがめんどくさいです。このあたり改善してほしいです。
納付書
さて今回のもう一つのテーマは「納付書」です。
期限後申告の場合、計算した税金の納付期限は「申告書を提出する日」となります。お客様に納付額の説明をして、お客様が納付される日にあわせて税理士の側で申告書を送信します。申告と納付がズレた場合どうなるのか、経験したことないのでわかりません。経験した税理士さんいらしたら教えてください。
税金の納付方法は現在それなりに用意されています
① e-Taxからのネットバンキング
② 振替納税(預貯金口座からの引落し)
③ クレジットカード払い
④ コンビニ納付
⑤ 銀行や税務署の窓口で納付
期限後申告の場合、②以外が選択肢となるのですが、今回の案件では⑤となってしまい納付書を入手する必要がありました。
管轄税務署が少し離れた場所やったので、草津税務署へ行って「〇〇税務署の納付書くださいな」と言うと戴けました。近所の税務署に行けば、別の税務署宛の納付書ももらえるんですね。まだまだ経験が浅いのでよくわかりませんが、滋賀県外の税務署の納付書でももらえるんでしょうか?書き損じ用に余計にいただいたんですが、何せ遠くの税務署なので使う機会が無くてもったいない。
ペナルティの分も納付するの?
期限後申告と同時に納付するのは本税(本来納めるべきであった所得税)だけです。無申告加算税・延滞税は税務署で計算して納付書を送ってくれます。住民税については自動的に市町村に情報が行って、そちらで計算してやはり納付書が送られてきます。このあたりの手続きも税理士によって違ったりするかもしれませんが。。
まとめ
そういえば修業時代、ボスに「白紙の納付書をもらってきて」とよく言われましたが、税務署でもらえたことは無かったです。
期限後申告のペナルティは意外と寛容ですが、税務署の目が厳しくなって税務調査のリスクが上がることも十分考えられます。やはり期限内に申告しておくに越したことはありませんので、申告期限は守りましょう。
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