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オーストラリアの不動産を購入し賃貸する場合の税金

 こんにちは、守山市の弓道税理士、酒屋です。
 知人からの質問があったので、オーストラリアの不動産への投資についてまとめてみました。このネタ、調べても結構情報が少なかったです。ありふれた情報ばかり記事にしててもあまり意味ないですから、こういうマイナーな記事の方が意外と価値があるんでしょうねー。今後は弓道ネタも含めてマイナー路線を攻めていきたいです。

目次

租税条約

 国際税務で悩ましいのが租税条約です。日本と相手国の間で租税条約が結ばれている場合、国内法に優先して適用されるというルールになっていますので、国内の税法の考え方で対応してしまうと足をすくわれることが少なくありません。
 「配当・利子・使用料」といって金融的な所得や無形の資産から生じる所得について、一時的にでも二重課税とならないように、減税や免税とするといった内容が多いです。
 一方で「不動産」については条約で規定しない場合が多いです。不動産の所在地国の課税が優先されて、投資者の国は一歩引いて、というイメージです。


こちらが財務省が公開している租税条約の一覧

オーストラリアの税制の特徴

会計期間

 7月1日~6月30日までの一年分の所得を、10月31日までに申告(タックスリターン)して納税する、という制度になっています。年末調整は無く、サラリーマンも毎年確定申告をするようです。オンラインでの申告も可能。

 オーストラリアの人口は日本の約1/6(約2500万人)ですが税理士は日本とほぼ同数(7万人)いるそうです。

減価償却

 オーストラリアでは建物の減価償却をする場合は、物件購入時に建築積算士という専門家に物件を鑑定をしてもらい、「減価償却表」という証明書を発行してもらう必要があります。

税率

 日本のサラリーマンがオーストラリアに投資する場合、先方では「非居住者」扱いになりますので、現地の居住者に比べて税率が高くなります。

課税所得90,000豪ドル以下・・・32.5%
90,001~180,000豪ドル・・・37.0%
180,001豪ドル以上・・・45.0%

 基礎控除なども適用されないので、賃貸の利益に上記の税率がまるまる課税されることになります。

日本での確定申告

 日本のサラリーマン(永住者)が、オーストラリアに投資する場合は、「全世界所得課税」といって日本へも不動産所得を申告します。

不動産所得の計算

 オーストラリアには7月1日~6月30日の金額で申告しますが、日本の課税期間は1月1日~12月31日です。約半年ずれるのですが、日本に申告する所得は1月1日~12月31日で計算しなければなりません。日本の確定申告時の減価償却についてはオーストラリアでの申告に関係なく、日本の税法に従って計算することになります。青色申告特別控除・損益通算も国内の不動産と同様に受けられます。

外国税額控除

 日豪租税条約は不動産所得については適用外ですが、二重課税を排除する仕組みとして外国税額控除は適用できます。
 控除額の計算式は
「その年分の所得税の額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)」
 MAXでオーストラリアに(その年に)納めた税額まで、控除できます。
 日本とオーストラリアのように会計期間がずれている場合の調整として、控除限度枠の繰越といった制度も用意されています(ここは計算がかなり難しい)。

まとめ

 税率面では、日本のサラリーマンは税率30%(所得税率20%+住民税率10%)あたりが平均的ですので、オーストラリアの32.5%・37.0%という税率は投資を検討するうえではマイナス要素と考えた方が良いかもしれません。
 あとはオーストラリアでのタックスリターンと日本での確定申告が二度手間になるのもデメリットです。
 人口の増加や資源、治安面を考えても、将来性のある国なので、不動産自体の値上がり(キャピタルゲイン)も期待できます。現地の事情に詳しい方でしたら、将来の移住用に購入しておくのもいいかもしれません。

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