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地方公共団体監査制度と税理士

こんにちは!滋賀県守山市の弓道税理士、酒屋です
先日、地方公共団体監査制度の研修に行ってきました。
同業者向けの情報提供&自分への備忘録も兼ねて内容を紹介します。

目次

税理士の公益的活動

 税理士の本業と言えば税務代理(申告書の作成など)や税務相談ですが、税理士資格を持っていると他にも公益活動を請け負うことができます。成年後見人、地方公共団体監査、政治資金監査などなど。周辺でそういった話は今のところ聞かないのですが・・・。あとは租税教室も広義の公益活動と言えますよね。

地方公共団体監査とは

 地方自治体には以前から監査制度が備わっているのですが、監査制度の中にも弁護士・公認会計士・税理士が監査委員として入る「包括外部監査」と呼ばれるものがあります。この外部監査が法で定められているのは都道府県と政令指定都市・中核市で、一般市などは任意とされています。滋賀県では県と大津市。お隣の京都では京都府と京都市が対象です。
 一般の監査制度は行政内部の組織によって行われています。1990年代に自治体による官官接待、カラ出張、談合などが問題視されるようになり、外部によるチェック機能として平成9年に地方自治法の改正によって定められました。一般市にもいずれ外部監査が義務付けられるようになるかもしれませんね、そうなると税理士の出番も増えそうです。

税理士が監査委員になる意義

 大体4名が監査委員になるそうですが、その内訳として議会議員さんが2名、自治体OBが1名で、残りの1枠に外部の専門家が入る、という形が一般的だそうです。監査人として1名が選ばれて、プラス補助者をつけてチームで監査をしていきます。
 日弁連が公開している2017年度のデータでは
監査人・・・122名中、公認会計士100名、弁護士16名、税理士6名。
補助者・・・744名中、公認会計士7割ちょい、弁護士1割、税理士1割弱、その他1割弱
補助者の「その他」には、システムの専門家や、自治体職員OBが入ることがあるそうです。

 会計監査なら公認会計士の専門分野になるのですが、地方公共団体監査では経済性・効率性・有効性(3E)を追求し、行政改革に寄与する提言型の監査が求められるため、会計監査とは本質的に異なります。税理士の経験・職能も外部監査には有効であると考えられています。私みたいにサラリーマンで内部統制とかを経験した税理士なんか、うってつけかもしれません!

同業者(税理士)向けの情報

監査人の選任

 監査人に選任されるには主に3つのルートがあり、自治体によって選任方法は異なります。
①自治体が会計士協会・税理士会に依頼し、各会から推薦を受ける
②自治体が税理士と会計士を交互に選任する(選任ルートは①と同じ)
③公募する(プロポーザル方式)

 ①と②はやっぱり実績とコネが大事みたいですので、こういった仕事をしていきたいと思ったら、経験のある先生とのコネクションをつくるか、③の公募で実績を積んでいくかでしょうか・・・

監査人の報酬

 執務日数は都道府県で51.4日(補助者は22.1日)、政令市で45.0日(補助者は21.5日)。
報酬の最高額は東京都で3,764万円、最少額は秋田県で648万円。
近畿では最高額は京都市で1,847万円、最少額は和歌山県で972万円。
 これを監査人+補助者でわけわけして、経費もここから出すそうなので「手元にはほとんど残らない。ボランティアみたいなもの」と講師の先生。まあ大御所の先生の話なので・・・

 オレンジ色の参考資料は2冊で400ページくらいあるですが、日税連の会員専用ページで見られるみたいです。持って帰るの重かった。冊子配布は希望者のみでも良いのでは・・・

 税理士の場合、基礎研修を受けた後、東京で実務研修(3日間)を受けないと監査人候補名簿には載りません。東京に3日。地方の税理士に厳しいですね。今回は先約が入っていたので見送り。Web受講できるようにして欲しいです。

滋賀県の監査報告

 今回、平成28年度の滋賀県の外部監査報告書が配布されたので、読んでみました。
 この年の監査テーマは「試験研究機関の財務事務の執行及び管理運営について」で、琵琶湖博物館・農業技術振興センター・水産試験場などが監査対象機関となっていました。
 琵琶湖博物館はちょっとした水族館になっているので、滋賀県民にはなじみ深い施設です。指摘内容としては入館料が会計管理者の個人名義口座に入金されていた等の財務管理的なものの他、「うみんど」という船舶が年18日しか運行していないとか、試験研究機関が各自で船舶をもっていて無駄、といった指摘がされています。あとはタワーサイロが故障中とか、近江軍鶏の卵の売価が高い?とか、結構細かいところまで見られていてしっかりした内容になっていました。
 この監査報告は公開されているので誰でも読むことができます。

まとめ

 実際の監査は、監査員が選定したテーマに沿って、「不正が行われない体制」がしっかり整備されているかを中心に見るそうです。J-SOX(内部統制)ですね、私もサラリーマン時代によくやりました。プロセス(仕事)ごとにフローチャートを作って、キーコントロールについて1件テストや全件テスト、リスク評価をした結果を監査員に報告する感じでしょうか。
 包括外部監査の通知簿(イエローブック)という報告書が全国市民オンブズマンさんから出版されているそうです。私も万が一、要請が来た時に応えられるよう(ないない)、勉強しときます。

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